飲食店が集客を上げる手段の一つにDM(ダイレクトメール)というツールがあります。
現代はSNSの発達により情報があふれているからこそ、DMで見込み客に直接アプローチできる手段は非常に有効です。集客に悩んでいる飲食店にとって、DMはぜひ活用したい強力なツールのひとつです。
今回は、そのDMの種類やDMの効果を最大限に発揮する方法を徹底解説いたします。
DM(ダイレクトメール)とは?

飲食店におけるDM(ダイレクトメール)とは、メニューや店舗に関する情報を直接伝えるためのマーケティング手法の一つです。
郵送や電子メール・SNSなど様々な形式で送られ、顧客の興味関心を引き、購買行動を促すことができます。
ダイレクトメールの目的は、主に以下の3つです。
- 商品やサービスの認知度向上
- 顧客の来店意欲を高める
- 既存顧客との関係強化(リピーターの獲得)
広告と違い、DMは特定の顧客層に絞って情報を届けられるため、無駄の少ない効率的な集客施策として、多くの飲食店でも活用されています。
種類別DMのメリットと費用相場

DMには大きく分けて「紙媒体」「電子媒体」の2種類があります。今回はその中でよく使用されているDMをご紹介します。
- 広告郵便
- Eメール
- グルメ媒体
- LINE
- SNS
順番に解説していきます。
広告郵便
広告郵便は「紙媒体」であり、ハガキか封筒でDMを送信する方法です。
手に取って読めるという特性から、視覚的なインパクトを与えやすく、受け取った人の印象にも残りやすいというメリットがあります。
印刷費や郵送コストはかかりますが、リピーターの再来店を促したい時や、近隣住民へのアプローチには特に効果的です。
目に留まりやすく、記憶に残るDMを作ることで、より確実にお客様へ情報を届けることができます。
広告郵便の費用相場
郵便の種類には「ハガキ」と「封筒」の2種類があり、それぞれ料金が異なります。
種類 | 費用 | 最低配送可能数 |
ハガキ | 85円(1通) | 2000通 |
封筒 | 110円(1通) | 2000通 |
ハガキを利用し、最低配送可能数の2,000通を送信した場合、170,000円程の費用が発生します。
また、区内割引といって、郵便局の場所によっては割引が適用される場合もあります。詳しくは、最寄りの郵便局に問い合わせてみましょう。
Eメール
Eメールは、メールアドレス情報を取得した顧客に向けてアプローチできる手段です。
Eメールは低コストで大量に配信できるため、費用対効果が高いというメリットがあります。また、開封率やクリック率といった数値を可視化できるため、データをもとに改善を重ねながら運用したい飲食店にとっては非常に有効です。
即時性にも優れており、期間限定のキャンペーンやイベント告知など、タイミングが重要な情報発信にもぴったりです。
Eメールの費用相場
配信システムによって料金が異なります。無料のものから、月額数千円~数万円のものまであります。
グルメ媒体
「食べログ」や「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」の有料プランに加入することで、DMを送信することができます。
これにより、来店履歴のある顧客に対して、最新情報やキャンペーン案内、誕生日のお祝いメッセージ、クーポンなどを直接届けることができます。
一般的に、飲食店が自力で顧客情報を集めるのはハードルが高いため、すでに来店実績のある顧客に効率よくアプローチできるのは大きなメリットです。
グルメ媒体の費用相場
料金 | |
食べログ | 2.5万円プランに加入する必要あり |
ぐるなび | 1万円プランに加入する必要あり |
ホットペッパーグルメ | 地域によって値段が異なる |
注意点として、「食べログ」は一斉送信ができません。顧客に個別にDMを送ることができます。
LINE
LINEは近年、主流になりつつある手段です。公式LINEを追加しているユーザーに向けて発信することができます。
低コストで顧客との直接なコミュニケーションが可能であり、集客やリピーター獲得に繋げやすいことがメリットです。特に、ターゲットを絞った情報発信や、クーポン配布、予約受付など、様々な機能が利用できる点が強みです。
また、LINEは多くの人が利用しており、メッセージの開封率も高いため、高い確率で顧客に情報を届けられます。
LINEの費用相場
LINEはプランによって、月に送信できるメッセージの送信数が異なります。
コミュニケーションプラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額料金 | 0円 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ数 | 200通 | 5,000通 | 30,000通 |
追加メッセージ料金 | 不可 | 不可 | 3円/1通 |
注意点として、例えば、50人の友だちがいるLINE公式アカウントの場合、コミュニケーションプランの無料メッセージ通数は200通のため、友だち全員へ月に配信できるのは4通までになります。5通目を配信したい場合は、ライトプランかスタンダードプランへ切り替えましょう。
公式LINEについて詳しくは、以下の記事で解説しています。
SNS
InstagramやFacebookなどのSNSを使用して、常連客とDMのやり取りをしている飲食店も多くみられます。
利用制限や利用料金がかからず、顧客との直接のコミュニケーションが取れることがメリットです。
SNSに力を入れている飲食店は、DMでのやりとりも検討してみてはいかがでしょうか?
SNSの費用相場
基本的には無料で使用できます。
【例文付き】飲食店のDMで記載したい内容

DMに記載する内容によって、来店率が大きく変化します。
ここでは、DMに記載すべき内容と、それぞれに合った例文をご紹介します。
メニュー紹介
DMにメニュー表を記載しましょう。
特に一押しのメニューや映えるメニュー、期間限定のメニューを写真付きで紹介することで、視覚的なインパクトを与え、顧客に「行ってみたい」「食べてみたい」と思ってもらいやすくなります。
メニューの名称やこだわり、セットドリンクや来店特典なども添えると、より来店意欲を高められます。
【メニュー紹介の例文】
こんにちは!〇〇(店舗名)です。
いつもご利用ありがとうございます。
本日は、【6月限定メニュー】のご案内です!
季節野菜の彩りグリルプレート
地元農家さんから仕入れた旬の野菜をじっくり焼き上げた、目にも楽しい一皿。
ワインやクラフトビールとの相性も抜群!
【今だけの特典】
このDMをご持参いただいたお客様に、ソフトドリンク1杯無料サービスをご提供!
ぜひこの機会に、新メニューをお試しください♪
皆さまのご来店を心よりお待ちしております!
新店舗オープン告知
新店舗をオープンする場合も、DMで告知しましょう。
既存のお客様へお知らせすることで、「行ってみたい」「応援したい」と思ってもらいやすく、オープン初日からの集客効果を高めることができます。
DMに入れたい内容は、以下の通りです。
- 店舗名
- オープン日
- 住所
- アクセス方法
- オープン記念キャンペーン
- 内装の写真
【新店舗オープン告知の例文】
こんにちは!〇〇(店舗名)です。
いつもご利用ありがとうございます。
この度、○○駅前に新店舗「○○2号店」を7月1日にオープンいたします!
新店舗オープンを記念して、ドリンク1杯無料券を同封しております。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
宴会プラン
歓送迎会や忘年会、新年会などイベントシーズンには宴会の告知を行うと効果的です。
料金やコース内容、予約可能人数、貸切対応などを詳しく記載しておくことで、お店を探している顧客はお店選びの際に比較検討しやすく、来店に繋げやすくなります。
また、早期予約特典やお得なクーポンも合わせて配信することで、多店舗との差別化ができます。
【宴会プランの例文】
こんにちは!〇〇(店舗名)です。
宴会・パーティーシーズンにぴったりなお得な宴会プランをご紹介します。
飲み放題付き 宴会コース 4,500円(税込)~
・前菜3種盛り
・本日のサラダ
・選べるメイン(お肉 or お魚)
・自家製パスタ
・デザートプレート
・2時間飲み放題付き
ご予約可能人数:4名~20名様
貸切対応可(10名様~)
早期予約特典:10名以上のご予約で幹事様1名無料!
忘年会、新年会、歓送迎会、女子会にもぴったりのコースです!
席に限りがございますので、お早めのご予約をおすすめします。
📞 ご予約・お問い合わせは
TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
または、公式LINE・WEBフォームから!
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
来店後の感謝の気持ち
DMで感謝の気持ちを届けることも有効です。
「いつもありがとうございます」「またお会いできるのを楽しみにしています」といった一言が、お客様の心に温かく届き、「また行ってみよう」と思ってもらえるきっかけになります。
特に、手書きのメッセージは想いがより伝わりやすく、リピーターの獲得にもつながります。
ぜひ、感謝の気持ちを込めたDMでお客様との関係を深めましょう。
【来店後の感謝の気持ちの例文】
いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで、当店は開店5周年を迎えることができました。
日頃からご来店いただいている皆さまのおかげと、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
これからも、心を込めたおもてなしと、笑顔になれるお料理でお迎えしてまいります。
寒い季節となりましたので、どうぞご自愛ください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
飲食店のDMの効果を最大限に高める方法

飲食店がDMの効果を最大限に得るためには、デザインや構成、送付タイミングなど複数の戦略的な工夫が必要不可欠です。
DMにかかる費用を上回る収益を得るためにも、以下の8つのポイントを踏まえて作成してみてください。
- ターゲットを絞り込む
- 自店舗ならではの特徴をアピールする
- 写真にこだわる
- 興味を引くデザインにする
- 視線の動きに合わせたレイアウトにする
- 要点を絞る
- クーポンや割引などの特典を付ける
- 送付するタイミングに気を付ける
順番に解説していきます。
ターゲットを絞り込む
DMの効果を最大限に高めるために、まずはターゲットを絞り込みましょう。
ターゲットを定めることで、DMの内容やデザイン、送るタイミングなどの方針が明確になります。
これにより、ターゲットの心に響く、効果的なDMを作成できます。
具体的には、以下の項目から考えると良いでしょう。
- 住所(お店からの距離)
- 年齢
- 性別
- 職業
例えば、仕事帰りのサラリーマンを集客したい場合は、電子媒体を使い、給料日前の20日頃、携帯を見ることが多い21時頃に送るのが効果的です。
一方、専業主婦をターゲットにするなら、女性向けのデザインで紙DM(広告郵便)を使うことで、手に取ってもらいやすくなります。
このように、ターゲットによって戦略が大きく変わってきます。
逆にターゲットが曖昧なままでは、誰にも響かないDMになってしまう可能性があります。
だからこそ、まずは「どんな人に届けたいのか」などのターゲットをしっかりと決めることが、DM成功の鍵になります。
要点を絞る
DMの効果を高めるためには、要点を絞ることが大切です。
なぜなら、伝えたいことをすべて盛り込もうとすると情報量が多くなり、読む側が負担に感じてしまうからです。
情報が多すぎると、結局どこが重要なのかが伝わらず、読まずに捨てられてしまうリスクも高くなります。
たとえば、キャンペーン告知のDMを作る場合、「キャンペーンの概要」と「特典内容」に要点を絞り、写真や見出しを使って直感的に伝えることで、読み手の関心を引きやすくなります。
さらに、客観的な視点を取り入れるために、スタッフなどに内容を確認してもらうと、ユーザー目線に立った修正がしやすくなります。
要点をしっかりと絞ることで、読みやすく、伝わりやすいDMになります。ユーザー目線を第一に、読みやすさを重視したシンプルな設計を心がけましょう。
自店舗ならではの特徴をアピールする
DMでは、自店舗ならではのアピールポイントを伝えることで、印象に残るお店として認識してもらいやすくなります。
他店舗と差別化できる特徴を伝えることで、読み手はお店の雰囲気をイメージしやすくなり、「行ってみたい」と思ってもらうきっかけになります。
たとえば、「昔懐かしいレトロな雰囲気」「小さなお子さま連れも大歓迎」など、他店にはない魅力を1〜2点に絞って伝えると効果的です。
多くを盛り込みすぎず、短く伝えることで、読み手の負担を減らしつつ、お店の個性をしっかり印象付けられます。
自店舗の強みを明確に伝えることで、顧客が飲食店を選ぶ際に自店舗が選ばれるきっかけの一つになり得ます。
写真にこだわる
DMの効果を高めるためには、「写真選び」がとても重要なポイントです。
写真は第一印象を左右する要素であり、特に飲食店の場合は「美味しそう!」と感じてもらえるかどうかが、来店意欲に直結します。
特に、料理の彩りや盛り付けなど、視覚的に魅力を感じやすいポイントを意識すると効果的です。
このように、写真にこだわることで、見た人の食欲を刺激し、来店したい気持ちを高めることができます。
3秒以内に興味を引くデザインに
DMを作成する際は、「3秒以内に興味を持たれるデザイン」を意識することが非常に重要です。
DMに限らず、チラシやビラなどの広告は、見て3秒以内に必要か不必要か決められてしまいます。そのため、3秒以内に興味を引くデザインにする必要があるということです。
興味を引くデザインにするためには、以下のポイントを抑えましょう。
- 思わず食べたくなる料理写真
- お店の雰囲気に合った色やフォント
- 安さを押し出す場合は目立つ価格表示に
- 文字は簡潔に、読みやすく配置する
- すっきりとしたデザインに
実際に他店のDMを参考に、良い点を取り入れてみるのも有効です。
このように、DMの効果を高めるには、3秒で興味を引き付けるデザインが不可欠です。写真・配色・文字の使い方にこだわり、思わず手に取ってもらえるDMを目指しましょう。
視線の動きに合わせたレイアウトにする
視線の動きに合わせたレイアウトを意識すると、DMの効果が高まります。
人間の視線の動きに合わせたレイアウトにすることで、DMを最後まで読んでもらいやすくなり、来店率アップにもつながります。
人は無意識に一定のパターンで視線を動かしています。以下の図をご覧ください。


このように、横書きの文章では「左上から右下へ」、縦書きでは「右上から左下へ」と自然に目が流れるため、その動きに沿ったレイアウトにすることで、読み手にストレスなく情報を伝えることができます。
そのため、強調したいキャッチコピーや写真を横書きなら左上、縦書きなら右上に配置すると、読み手の視線に自然と入りやすくなります。
逆に、視線の動きを無視したレイアウトの場合、内容が目に入らずスルーされる可能性が高くなります。
このように、重要な情報は視線が集まりやすい位置に配置し、読み手に自然に伝わる設計を意識しましょう。
クーポンや割引などの特典を付ける
クーポンや割引特典をDMに付けることで、お客様の来店行動を後押しする効果があります。
クーポンは「お得感」を感じてもらいやすく、来店のハードルを下げる役割を果たします。
特に、迷っている顧客にとって「クーポンがあるから行ってみよう」と思わせる最後の一押しになります。
たとえば、仕事帰りのサラリーマン層に向けては「平日限定ドリンク1杯無料」クーポン、リピーター獲得には「次回来店時無料」など、ターゲットのニーズに合わせた特典が有効です。
ただし、むやみに値引きをしすぎると利益を圧迫してしまうため、顧客の平均支払額を把握したうえで、条件価格や値引き額を設定しましょう。
クーポンを活用することで、お得感が増し来店のきっかけにも繋がります。積極的に活用していきましょう。
送付するタイミングに気を付ける
DMを送るタイミングも、DMの効果を左右する重要なポイントです。
ターゲットが携帯を見るタイミングに合わせてDMを送ることで、開封率UPに繋がります。
例えば、主婦向けのランチセットを売り出したい場合、お店を探すタイミングの10時頃に送ると効果的です。
また、仕事帰りのサラリーマンに向けて発信したい場合は、仕事の合間にDMを見てもらいたいので、15時頃に設定すると良いでしょう。
このように、DMを送るタイミングは、ターゲット層の行動パターンや心理状態を考慮して決めることが重要です。
飲食店のDMデザインが簡単にできる!無料テンプレートサイト3選

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PIXTA

出典:PIXTA
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さらに、テンプレートのサイズを変えれば、チラシ・はがき・ポスターなど、様々な形で展開できるのも魅力です。
飲食店がDMで集客効果を上げる方法まとめ
飲食店が集客を上げる手段としてDMを活用することは、非常に有効なツールです。
ただし、やみくもに送るのではなく、ターゲットをしっかりと定めた上で、内容やデザインを丁寧に作り込むことが成功のカギとなります。
これまでにご説明したポイントを参考に、「行ってみたい!」と思ってもらえるDM作りにぜひチャレンジしてみてくださいね。