飲食店をインターネットで検索するときに、必ず検索結果に表示されるのがグルメサイトの飲食店ページです。
一見便利そうに見えるグルメサイトですが、一般のユーザーはグルメサイトを使って飲食店を探さなくなってきているといいます。
検索結果の上位に表示されるグルメサイトを使わない場合、ユーザーはどんなサイトを利用して飲食店を探しているのでしょうか?
調査結果によると、ユーザーはGoogleやSNSを利用して目当ての飲食店を見つけていることが分かりました。
若年層から徐々に浸透していっている新たな検索方法と、これからの飲食店マーケティングに必須となるGoogleビジネスプロフィールの利用方法をまとめました。
ぜひ最後まで読んで参考になさってください。
そもそも、グルメサイトとは
グルメサイトとは飲食店の情報をメインにしたサイトのことをいいます。
店名や住所、電話番号などの基本的な情報の他に、その飲食店のメニューや予約用のプラン、実際に利用した顧客の口コミや評価などが掲載されています。
サイトは数多くありますが、食べログやぐるなび、ホットペッパーグルメが日本で言うところのグルメサイトとしてよく知られるところです。
これらのサイトでは情報の検索ができるだけでなく、店舗によっては予約の受付をしている場合もあります。
グルメサイトを利用するメリット
グルメサイトを利用するメリットとしては、多数の飲食店がまとまった状態になっていることや、さまざまな情報が決まったフォーマットでまとまっているため、使う側からすると利便性が高く、ユーザーはさまざまな飲食店を見つけ出しやすい点にあります。
それだけにとどまらず、好みの飲食店を見つけたらブックマークしたり、そのページからメニューを確認して予約することも可能で、ひとつのアプリですべてが済ませられることも魅力のひとつでしょう。
飲食店側からしても、グルメサイトに有料登録しておけば多くのユーザーが自店のページを閲覧することになるため、来店につなげやすいのが実際に利用する理由になっていました。
ただ、これまでも言われてきたことですが、グルメサイトへの有料登録は費用が高額で、その費用対効果が良いかと言えば微妙なところだったのが実のところです。
月額の掲載費用や送客手数料は決して安くなく、飲食店向けに顧客管理・予約システムを開発提供している株式会社テーブルチェックが昨年行った調査によると、飲食店の6割近くが割高だと考えていることが分かりました。
さらにそれだけにとどまらず、食べログの評価を不当に下げられたことで売上が減少したと焼肉チェーン店が食べログを運営するカカクコムを相手取って訴訟を起こし、昨年6月には東京地裁がカカクコムに独占禁止法違反を認め、敗訴としました。
この結果を踏まえ、この判決は妥当だと思うかアンケートで尋ねたところ、全体の約6割が判決は妥当だと回答。
そして調査の結果、食べログ側を支持する人はわずか5%程度しかいないということが判明し、すでにグルメサイト隆盛の時代は終わりつつあることが見えてきたのです。
この判決により、これまで多くの人が問題があるのではと考えていた評価システムそのものの信頼が失われていると感じていることが表面化したのです。
グルメサイト離れが加速している理由
アンケート調査の結果から、浮き彫りになっていくグルメサイト離れ。
どうやらその流れは加速していっていることが、この調査の内容をさらに見ていくと分かります。
グルメサイト離れが加速しているのにはいくつかの理由があります。
その理由についてここではご紹介します。
グルメサイトへの不信感
ひとつにはグルメサイトへの不信感が飲食店だけでなく、ユーザーの間でも高まっていることが挙げられます。
先に述べたように、飲食店からはサイトへの有料利用のコストが高いという不満がある一方で、評価システムそのものへの信頼感が揺らぎ、その評価の点数を「信頼しない」とアンケートに答えた人がユーザー、飲食店ともに3割を越えていることが調査結果からも分かります。
さらに、グルメサイトを信頼しないと答えたユーザーは年々増加しており、この2年で1.2倍に増えています。
<ユーザー側のアンケート結果>
<飲食店側のアンケート結果>
好みのお店が見つからない
もう1つは、グルメサイトでは好みのお店が見つからないと考えているユーザーがこの2年で3割近くまで増加していることが挙げられます。
グルメサイトを利用する割合が減ったユーザーはこの2年で増加しており、利用する割合が増えた人よりも増加傾向にあることがグラフから見て取ることが出来ます。
また、その内容を信頼できない情報だと考えている人が次いで多くなっており、その信頼性が問われる結果となっているのです。
ユーザーはグルメサイト以外に何を使って飲食店を見つけているのか
では、ユーザーはグルメサイト以外に何を使って飲食店を見つけるようになっているのでしょうか。
株式会社テーブルチェックの調査の結果では、グルメサイトを利用しているユーザーは年齢層が高く、60代では5割近いのに対し、20~30代はGoogleを利用するユーザーがグルメサイトを利用するユーザーを上回っていることが分かります。
若い世代はGoogleや、InstagramなどのSNSを利用する方向へすでにシフトしていることが、この調査結果をまとめた表から透けて見えます。
ここでは実際に、飲食店の情報をどのようなところから探しているのか、そのサイトの特徴なども含めてご紹介します。
公式サイト
ユーザーは、Googleでお店の公式サイトを見つけ出し、それを参考にしているケースが多いと言えるでしょう。
Google検索の上位に表示される公式サイトの情報は、飲食店のオーナーなどが実際に更新を重ねているものでもあるので、ユーザーにとって非常に確度が高く、信頼性の高いものであるからです。
実際、飲食店側も公式サイトを何らかの形で有していることが多く、そこには店舗の最新の基本情報を掲載し、最新の情報はブログやSNSで随時行う店舗が多くなっています。
そのため、ユーザーはGoogleで飲食店の公式サイトを見つけ出しさえすれば、実際の店の様子や今どんな状況かを感じることができるため、安心してその飲食店を訪れることが出来ます。
そうした意味でも公式サイトを持っておくのは、飲食店にとってとても重要なことだと言えるでしょう。
2つ目に挙げられるのはInstagramです。
Instagramは若い世代を中心に、さまざまな情報を検索するツールとして、すでに使われる頻度がSNSの中でも高くなっています。
ユーザーが行きたいと考える地域やお店のジャンルなど、いろいろなキーワードで検索が掛けられるだけでなく、実際に投稿されている内容から、どのような料理やドリンクが提供されているのか、即時性を伴った状態で確認することができるのが便利なところです。
飲食店オーナーにとっては、ここしばらくのSNS映えブームのきっかけになったSNSとしてもよく知られているのではないでしょうか。
ブームに伴って、映える料理や盛り付けの工夫を行ったお店も多いことを考えると、Instagramを検索に利用するのは必然だと言えるでしょう。
Googleビジネスプロフィール
3つ目は「Googleビジネスプロフィール」です。
Googleビジネスプロフィールとは、Googleが無料で提供している「Google検索」の結果や、「Googleマップ」に表示される、店舗情報や会社情報を管理できるサービスです。
インターネットユーザーの8割がGoogleのサービスを利用していると言われることを考えると、その重要性が非常に高いことが分かるのではないでしょうか 。
ユーザーがGoogleに位置情報を取得できるように設定すると、「居酒屋」「ラーメン」などと行きたい飲食店の特徴を入力して検索するだけで、現在地に近いそれらの飲食店が表示されるようになります。
Googleビジネスプロフィールもグルメサイトと同様に、ユーザーが5つ星で評価を入力できるようになっていますが、評価や口コミのポイントに関係なく、Googleマップ上で近い飲食店が順番に表示されるようになっています。
Googleマップでの経路案内が利用できるのはもちろんのこと、公式サイトや店舗の基本情報を登録することも可能で、Googleマップを利用する人なら誰もが利用することを考えると、非常に集客効果が高いことが期待でき、オーナー確認の手続きを踏めば誰でも無料で利用できるのも嬉しいポイントです。
では、実際にGoogleビジネスプロフィールで集客をするにはどのような手続きが必要で、集客にはどのようなコツがあるのかご紹介します。
Googleビジネスプロフィールの利用方法
まず、Googleマップを開き、自分の店舗を検索し、マップに登録されているかどうかを確認します。
すでに地点登録されている場合、GoogleマップにはGoogleが自動収集した情報や、ローカルガイドによる第三者からの情報によって登録された店舗情報が表示されます。
現在すでにあるこれらの情報に加え、営業時間や定休日など、店舗の正確な情報を登録するにはオーナー確認を行う必要がありますが、何も調べずに新たに情報を登録してしまうと、既存の情報を引き継げないため、まずGoogleマップを検索することから始めるのがマストと考えましょう。
地点登録がされている場合は、Googleマップ上で自身の店のある場所に赤いピンが表示されます。
ピンをクリックすると画面上に「このビジネスのオーナーですか」という文言が表示されるのでリンクをクリックするとGoogleビジネスプロフィールの利用に進むことが出来ます。
そこから先にあるGoogleビジネスプロフィールの各機能の利用は「オーナー確認」の手続きをすると可能になります。
これは第三者が店舗運営者になりすますのを防ぐためでもあります。
オーナー確認が済むまでは、定休日や営業時間の修正、口コミへの返信などの各機能の利用が出来ないようになっています。
オーナー確認の方法
では、オーナー確認はどのように行えばいいのでしょうか。
まず、Googleビジネスプロフィールでプロフィールを追加するか申請をします。
その際にオーナー確認の方法を選びます。
方法は電話、テキストメッセージ、動画、メールの4つがあり、状況によってこの中から複数の手段を利用する場合もあり、利用できるものは業種などによっても異なります。
また、オーナー確認にはプロフィールの整合性を図るために審査が必要で、7営業日ほどの時間がかかる場合が多いようです。
オーナー確認が済むと通知が来て、Googleビジネスプロフィールの各機能が利用できるようになります。
時間は少しかかりますが、無料で利用できる集客効果の高いツールでもあるので、上手に利用していきましょう。
Googleビジネスプロフィールを使った集客のコツ
では実際にどうすれば集客効果が上がるのかについてご紹介します。
無料で登録利用できるGoogleビジネスプロフィールには4つの機能が備わっています。
正確な店舗情報の発信と管理
まず、Googleビジネスプロフィールの基本となるのは、正確な店舗情報の発信と管理にあります。
店名や住所、電話番号という基本情報を正確に登録するのはもちろん、メニューの内容やテーブル数など、ユーザー側が気になりそうな情報の最新版を登録しておきましょう。
例えば店舗が移転したり、メニューが変更になっているのに登録内容を変更しないままにしていると、Googleマップを手がかりにやってきたユーザーを落胆させてしまう可能性もあるのです。
Googleビジネスプロフィールには最新の情報を常に登録しておくように心がけましょう。
簡易的なホームページの作成
簡単なホームページを作成できる機能もGoogleビジネスプロフィールには備わっています。
専門的な知識がなくても、難しいステップなしで簡単に店舗の公式サイトができることになります。
作成したホームページには、口コミなどの情報も自動的に反映されるようになっているのが特徴です。
もしも店舗の公式サイトがまだない場合は、この機能を利用してサイトを作っておくと良いでしょう。
世界中から店舗の情報にアクセスする多くの人が、このサイトを見てくれるはずです。
口コミを通じた顧客との交流
Googleビジネスプロフィールには、ユーザーからの口コミが登録できるようになっています。
公式サイトを利用して口コミを集めようとするととても大変ですが、Googleビジネスプロフィールでは投稿する人も多いため、比較的簡単に口コミを集めることが可能です。
もちろん、世界中の人が母国語でアクセスできるので、インバウンド集客の効果も高いのが特徴です。
店舗の運営者として口コミにこまめに返信するようにすれば、貴重な交流の場として利用することが可能です。
もしも否定的な口コミをもらったとしても、適切な対応を取ることが印象を良くするきっかけになります。
アクセスデータの分析機能
Googleビジネスプロフィールには、インサイト機能というアクセスデータの分析機能があります。
データが確認できるのは下記の内容です。
- 検索キーワード
- 店舗を見つけたときに使った手段
- ユーザーが行ったアクション
- ルート検索を利用されたエリア
- 電話を受けた回数
- 写真の閲覧数と掲載枚数
検索キーワードやルート検索のエリアは、店舗のマーケティングを行う上で活用できます。
無料でここまで利用できるなら、多少手間がかかっても活用しない手はありません。
グルメサイトとGoogleの合せ技で集客を図る
しかし、先に述べたように、アンケート調査の結果を踏まえれば、残りの半数はまだグルメサイトを利用している層がいるのを忘れてはいけません。
アンケート結果からも、情報源のひとつとして活用している人が半数以上を占めることが分かることを考えると、Googleビジネスプロフィールとグルメサイトの2つを上手に使いながら集客を図るのが良いのが分かります。
ユーザーがどのような形で店舗の情報を得ているのかは分かっており、現在は過渡期でもあるので、飲食店側は顧客に対して常に間口が広い状態にしておくのがベストだと言えるでしょう。
まとめ
アンケート結果から、ここ数年でグルメサイトの最盛期は過ぎ、勢いを失っていることが分かりました。
また、GoogleビジネスプロフィールやSNSを活用することで、費用対効果の良い集客ができることもご理解いただけたのではないでしょうか。
グルメサイト離れは進みつつあります。
今のうちからグルメサイトだけに頼らない集客方法として、GoogleビジネスプロフィールやSNSを活用していけば、店舗側にとっても大きな情報の蓄積ができることにもなります。
両方をうまく使いながら、新たな時代の集客方法へとシフトしていきましょう。