映える写真とコメントで、一般ユーザーの間で長いブームが続いているインスタグラムは、飲食店が集客を行う際に強い味方になってくれることをご存知でしょうか。
料理やメニューの写真を共有できるだけではなく、空席の情報やその日のメニューを知らせるなど、飲食店の「いま」を伝えやすいSNSとして、数多くの飲食店が集客に利用しています。
インスタグラムを使って飲食店集客を行うにはどうすればいいのでしょうか。
この記事ではインスタグラムを活用した飲食店集客についてご紹介します。
飲食店がインスタ集客を行ったほうがいい理由
近年、SNSを使った集客は当たり前になっていますが、なかでもインスタは活用する飲食店が多いことをご存知かもしれません。
インスタを見ていると、さまざまな飲食店が料理の写真やメニュー、さらにはクーポンなどを投稿しています。
数あるSNSのなかでも、インスタは飲食店が集客のために活用しやすい理由がたくさんあります。
その理由にはどんなものがあるかご紹介します。
LINEやYouTubeに次いで利用率が高い
飲食店.COMの会員を対象にしたアンケートで、飲食店集客に利用しているSNSを問うたところ、インスタが2位のfacebookに大差をつけて1位となっています。
なぜインスタを活用する飲食店が多いのかといえば、その理由は一般ユーザーの利用率の高さにあるといえます。
インスタはいまや生活には欠かせなくなったLINEや、テレビに取って代わったYouTubeに次いで利用率が高く、全年代の平均はX(旧Twitter)を押さえて3位となっているのです。
インスタの利用率が高いということは、インスタを通じて自分の店の集客を行えば、より多くの人にその情報が届くということを意味します。
SNS名 | 全年代 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
LINE | 92.5 | 92.2 | 98.1 | 96.0 | 96.6 | 90.2 | 82.6 |
YouTube | 87.9 | 97.2 | 97.7 | 96.8 | 93.2 | 82.5 | 67.0 |
X(旧Twitter) | 46.2 | 67.4 | 78.6 | 57.9 | 44.8 | 34.3 | 14.1 |
32.6 | 13.5 | 35.3 | 45.7 | 41.4 | 31.0 | 19.9 | |
48.5 | 72.3 | 78.6 | 57.1 | 50.3 | 38.7 | 13.4 |
※単位は%
引用:【令和3年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率
写真+言葉で「顔の見える集客」ができる
インスタの投稿でメインとなっているのは写真と動画ですが、そこに言葉を加えることで、より個々の飲食店の「顔の見える集客」を行うことができます。
自分の店の情報にたどり着いた人と投稿を通じてコミュニケーションを取ることができるため、その店のカラーが伝わりやすいのも良いところです。
インスタを見て初めてその飲食店に来訪しようと思った顧客も、店の様子があらかじめ分かればより安心して訪れることができます。
料理の写真やメニューの情報だけでなく、投稿するときに言葉を付加することでより親しみやすくなり、利用したいと思わせる集客をすることができます。
グルメサイトと同様の使い方をする若者が多い
ここ数年、飲食店を探すのにグルメサイトを利用せず、Googleやインスタを情報源とする人が増えています。
特に若い世代の間では、インスタを活用してグルメサイトの代わりに利用する人が多い傾向にあります。
グルメサイトよりも飲食店が自ら発信する生の情報を見ることができるため、より飲食店の個性が伝わりやすいことや、グルメサイトの評価より自分の感覚を大切にしているためです。
若い世代の顧客を取り込みたいのであれば、インスタを飲食店集客に活用するのは必須といってもいいでしょう。
飲食店の「いま」を伝えられる
インスタは写真や動画の投稿に加え、24時間で投稿が消える「ストーリー」や、飲食店の状況が伝えられるライブ配信も行えます。
インスタはグルメサイトや他のSNSと違い、より速報性の高い「いま」の情報を投稿することで、顧客に知ってもらうことができるのです。
例えば、キャンセルが出た場合に席の空きがあることや、限定メニューが残り何食あるかなどを、リアルタイムで投稿できるのは大きな魅力だといえるでしょう。
また、一方的な投稿だけでなく、ユーザー側も投稿にアクションを起こすことができるので、コメントをくれたユーザーとつながりを持ち、集客をすることができます。
これは新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの獲得にもつながっていきます。
インスタグラムでの飲食店集客の始め方
さて、実際にインスタを使っていない飲食店が、インスタを新たに飲食店集客に活用するにはどうすればいいでしょうか。
ここではその始め方についてご紹介します。
アプリをダウンロードしてアカウントを作成する
まず、持っているスマートフォンにインスタグラムのアプリをダウンロードします。
アプリをダウンロードしたら、まず個人アカウントを作成します。
作成時に必要になるのは、メールアドレス、電話番号、Facebookアカウントのいずれかです。
このうちのどれかをインスタグラムに紐づけて利用するようになるので、どれを連携させるか決めましょう。
次に、名前とユーザーネームを決めます。
名前は日本語も使えるので、飲食店の名前などにしておくといいでしょう。
ユーザーネームはアカウントを識別するためのものなので、他に同じ名前の飲食店が登録していると同じユーザーネームは使えないため、別の名前を考えることも必要になります。
飲食店の名前に創業年を入れるなどして工夫するようにしましょう。
さらに、アカウントの目印となるプロフィール写真の設定を行います。
飲食店で使っているロゴなどを利用している店舗が多いですが、自分の店が分かりやすいものを使うようにします。
また、プロフィールに表示する文章も作成します。
どんな店でどこにあるのかなどを記載すると、ユーザーが見たときに分かりやすいのでおすすめです。
ビジネスアカウントへ切り替える
アカウント登録の作業がすべて終わったら、ビジネスアカウントに切り替える作業をします。
ビジネスアカウントでは、個人アカウントで使えない機能が使えるようになり、飲食店集客に役立ちます。
例えば、広告を打てるようになるのはもちろん、インサイト機能を使ってフォロワーの分析をしたり、プロフィールの連絡先から予約につなげるボタンを設置することができるので、個人アカウントでの利用よりもビジネスアカウントに切り替えたほうが利便性が高くなります。
広告以外は無料で利用できるので、これを活用しない手はありません。
ビジネスアカウントに切り替える方法は、
個人アカウントのホームを表示→右上隅の三本線をタップ→設定とプライバシー→アカウントの種類とツール→プロアカウントに切り替える→当てはまるカテゴリを選択→変更完了
となります。
プロアカウントではそれぞれの項目を詳細設定できるほか、いろいろな機能が使えるようになります。
予約ができるようにグルメサイトと連携する
せっかく飲食店の集客のために、インスタグラムのプロアカウントを立ち上げても、インスタグラムに予約のための導線がないと、Googleなどで店舗の情報を検索しなおさなければならなくなってしまいます。
それが面倒でせっかく見つけた飲食店に行かないユーザーもいるので、それをみすみす逃すわけにはいきません。
インスタグラムはぐるなびやRetty Orderなどのグルメサイトとアクションボタンで連携できるようになっているので、連携するようにしましょう。
また、テイクアウトを行っている飲食店であれば、出前館やUber Eatsとも連携ができるので、それも済ませておくのがおすすめです。
ぐるなびとの連携方法
連携できる条件は、インスタグラムがプロアカウントであることと、ぐるなびに飲食店の情報を掲載していることとなります。
条件をクリアしたら、インスタでアクションボタンの設置をします。
プロフィール→プロフィールを編集をタップします。
アクションボタンをタップします。
アクションボタンの選択画面が開くので、席を予約するをタップします。
連携できるサービスの一覧が表示されるので、Gurunaviをタップします。
すると、ぐるなびのログイン画面が表示される→ログインして指示に従って手続き→ぐるなびの予約アクションボタン設置完了
となります。
その他のサイトもそれぞれ同様に連携してアクションボタンを作りましょう。
アカウントの設定やさまざまなサイトへの連携を済ませたら、あとは投稿をするだけです。
普段出している料理やドリンクを投稿して、徐々にフォロワーを増やしていきましょう。
インスタグラムを使った飲食店集客のコツとは
インスタグラムを使うことに決めたものの、飲食店の集客を行うにはどのような投稿をすればいいのか、また、集客をするためにはコツがあるのだろうかと考える人も多いでしょう。
ここではインスタを使った飲食店集客のコツについてご紹介します。
どのような顧客をターゲットとするかを決める
まず、店のコンセプトに合わせて、どのような顧客をターゲットにするかを決めます。
年齢層やおおよその所得額、どのようなものを好む層なのかといったペルソナを決めておくことは、飲食店を運営する上でも非常に大切なことです。
インスタグラムで飲食店の集客をする場合も同じように、飲食店のカラーを伝えるためにペルソナに沿った投稿をすることを心がけましょう。
そうすることで飲食店のコンセプトにあった層からのフォローが増えたり、投稿にも統一感が生まれてきます。
投稿は定期的に行う
インスタを飲食店集客に利用するときに、必須となるのは投稿ですが、それを定期的に続けることは非常に重要なこととなります。
投稿の頻度が高いほど多くのユーザーに見てもらうことができますが、あまり頻繁に投稿するとかえって鬱陶しいと思われてしまう場合もあるので注意が必要です。
また、ユーザー側は投稿の頻度はあまり重視せず、投稿の質に重きを置く場合が多いため、ユーザーにとって無益な投稿が頻繁に行われるとフォローを外されてしまう可能性があります。
理想は週に2回程度ですが、ユーザーにとって有益な情報を発信できるよう、無理のない投稿をしていくのが良いでしょう。
ハッシュタグを必ずつける
ハッシュタグとは、「#」(ハッシュマーク)の後ろにキーワードを入れたものです。
インスタはXやfacebookのような拡散機能がないため、自分の店の投稿を見つけてもらうにはハッシュタグをつけるのが必須になります。
また、インスタではハッシュタグを使った検索ができるため、投稿のときにつける文章にハッシュタグをつけることでよりユーザーが自分の店を検索しやすくなります。
例えばカフェであれば、「#カフェ」と入れるようにすることで、検索したときに同様にハッシュタグをつけているカフェが一覧で表示されるという仕組みです。
ハッシュタグは1投稿に対して30個まで入れることができるので、その制限を守った上で関連したキーワードを選んでつけるようにします。
ハッシュタグは関連性のあるものがユーザーから重視されるため、人気のタグを使っても関連がないと思われると見てもらえないので注意しましょう。
ストーリーズを活用する
ストーリーズは、画面をフルに使った短い動画や画像を投稿できる機能で、投稿後24時間で削除される仕組みになっています。
リールと似ていますが、ストーリーズに投稿できる動画の長さは60秒までとなります。
フォロワーのタイムラインに流れるものではなく、画面に表示されるアイコンをタップすると見られる仕組みになっているので、投稿頻度が高くても邪魔にされることはありません。
さらに、投稿するときに質問やアンケートの設定ができ、フィードの投稿よりもユーザーとのコミュニケーションが取りやすく、双方向性が高くなります。
急に営業時間が変更になったときのお知らせや従業員の紹介など、リアルタイムの発信にも役立つので取り入れていくといいでしょう。
リールを活用する
フィードの投稿に加えて活用したいのがリールの投稿です。
リールはスマホの画面いっぱいに縦長で表示される点はストーリーと同じですが、フィード投稿と同じようにユーザー側はいいねやコメントを残すことができるようになっています。
プロフィールの下に専用のタブも設けられている機能で、投稿できる動画の長さは90秒になります。
クオリティの高いフィード投稿が多いことに比べると、リール投稿はハッシュタグ次第では新規のフォロワーを獲得するのに良いといえるので、初心者には活用しやすい機能でもあります。
キャッチーでありながら最後まで見てもらえるリールは、BGMやつかみなど、インパクトを重視した作りが肝心になりますが、アプリで簡単に動画編集もできるので、チャレンジする価値があるといえるでしょう。
投稿へのコメントやDMへの返事はこまめに
インスタのフィードやリールにはユーザーからコメントが付けられるようになっているので、コメントが付いたらこまめに返信をするように心がけましょう。
コメントに返信することで、店の雰囲気も伝わりやすいことから、新規顧客を獲得するのに役立ちます。
また、インスタグラムにはDMの機能もあるので、予約時に顧客から記念日のサプライズやアレルギーなどへの対応などの相談が持ち込まれることもあります。
こうしたことにもなるべく早めに返信して対応することで店の姿勢が伝わり、顧客の印象を良くしてくれるといえます。
インサイト機能を活用する
インスタのインサイト機能は、プロアカウントであれば誰でも活用のできる分析機能です。
利用できる項目としては下記が挙げられます。
項目 | 具体的に確認できるデータ |
リーチ(自店のアカウントに対しユーザーが取った行動に関する数値) | ・リーチ数 ・インプレッション数(閲覧数) ・プロフィールアクセス数 ・ウェブサイトタップ数 ・[メールを送信]ボタンのタップ数 ・[電話する]ボタンのタップ数 |
インタラクション(いいねや保存など全投稿に対してユーザーが取った行動に関する数値) | ・インタラクション数 ・いいね数 ・保存数 ・シェア数 |
オーディエンス(フォロワーの属性) | ・フォロー数 ・フォローをやめた数 ・トップの場所 ・年齢層 ・性別 ・最もアクティブな時間 |
各投稿に対する数値 | ・投稿のいいね数、コメント数、シェア数、保存数 ・リーチ数 ・インプレッション数(閲覧数) ・プロフィールへのアクセス数 ・フォロー増加数 |
ストーリーに関するより詳細な数値 | ・インタラクション数(閲覧数) ・プロフィールへのアクセス数 ・インプレッション数 ・リーチ数 ・戻る、次へ、次のストーリーズ、ストーリーズからの移動数 ・返信数、スタンプのタップ数 |
リール投稿に関する詳細な数値 | ・リーチしたアカウント数 ・再生数 ・いいね数 ・コメント数 ・シェア数 ・保存数 |
インスタライブに関する詳細な数値 | ・リーチしたアカウント数 ・ピークの同時視聴者数 ・コメント数 ・シェア数 |
インサイト機能では、アクティブユーザー数やフォロワーの属性、投稿の効果などを数字で見ることができるため、アカウントを運用する上での弱点や問題点を見つけることができます。
毎回ひとつずつ確認するのは少し手間や時間がかかるので、以下の4つに気をつけておくといいでしょう。
- 保存率(保存数÷リーチ数)・・・・・・投稿が保存された割合。目標の数値は2%。
- ホーム率(ホーム数÷フォロワー数)・・・・・・フォロワーがタイムラインから投稿を見た割合。目標の数値は60%。
- プロフィール移動率(プロフィールへのアクセス数÷リーチ数)・・・・・・投稿からプロフィールへ移動したユーザーの割合。目標の数値は3%。
- フォロワー転換率(フォロー増加数÷プロフィールへのアクセス数)・・・・・・プロフィールへ移動したユーザーがフォロワーになった割合。目標の数値は6%。
インスタグラムを使った飲食店の集客事例
インスタグラムを使って飲食店の集客をしている企業や店舗のなかで、成功事例といわれているものについてご紹介します。
コメダ珈琲店
コメダ珈琲店のインスタグラムは、ブランディングの面で成功している事例です。
コーヒーやフードメニューの写真に加え、コメダ珈琲店での過ごし方などを提案し、全体的に投稿のトーンも統一感があるのが特徴です。
写真以外にポスターのようなデザインの投稿もあり、こちらもブランディングに活用されています。
ポスターのデザイン候補をどちらがいいかアンケートで選んでもらうなど、親しみやすく良いアイディアだといえるでしょう。
牛角
日本最大級の焼肉チェーン店である牛角は、ハッシュタグの活用が成功している事例です。
お店に来たユーザーに「#牛角」とつけた投稿をしてもらうことで、自然と口コミ効果が得られるようにしています。
2023年8月の段階で、「#牛角」のハッシュタグをつけた投稿は22.7万件と圧倒的な数になっています。
博多もつ鍋おおやま
全国にチェーン展開をしている博多もつ鍋おおやまのインスタアカウントは、展開している店舗の情報ももちろんありますが、デリバリーやテイクアウト、お取り寄せにウェイトが置かれています。
フィード投稿の見た目は雑誌が並んでいるようなイメージに統一してありますが、最近は映える写真だけでは注目してもらえないということから、よりリーチしやすい文字の入った投稿が中心になっています。
テイクアウト等にも力を入れている場合には、非常に参考になるアカウントになっています。
インスタグラムを飲食店集客に使う上での注意点
さて、最後にインスタグラムを飲食店集客に使うときの注意点を見ておきましょう。
インスタグラムの飲食店集客はメリットも大きいですが、デメリットももちろんあります。
メリット・デメリットの両方を踏まえた上で利用することが失敗を防ぎます。
即効性のある集客ツールではない
飲食店集客に関して効果が高く相性が良いインスタグラムですが、すぐにその効果が出るわけではありません。
まずは定期的な投稿を行い、フォロワーを増やし、ユーザーへの認知度を高めることが重要になります。
さらに、フォロワーに足を運んでもらえるようになるには、高いハードルがあるということも認識しておきましょう。
すぐに結果が出ないからといって諦めてしまっては、集客に活用することは不可能です。
投稿や返信を含め、継続することが大切
フィードやリール、ストーリーなどの定期的な投稿や、その投稿に対するコメントやDMへの返信は継続することが大切です。
コツコツと地道に継続することがフォロワーに安心感を与え、認知度を高めていく鍵になるといえます。
安心感や信頼感が高められるようにしっかりと継続していきましょう。
批判や悪評、炎上もあり得る
もちろん、インスタグラムにも他のSNSと同様に炎上のリスクがあります。
投稿を不快に思う人からの批判コメントや、店を訪れた人からの悪評などが寄せられることもあるでしょう。
コメントが付けられないように、コメント機能をオフにすることもできますが、それではユーザーとのコミュニケーションができません。
批判や悪評などのコメントにどのように対応するかで安心感や信頼感が図られるともいえるでしょう。
まとめ
飲食店の集客に良い効果をもたらしてくれるインスタグラムは、多くの人が利用する無料で活用できるツールでもあります。
さまざまな事例を参考にしながら、店のコンセプトに合った投稿をコツコツとしていくことが大切ですが、ときにはバズって良い結果を生むこともあるSNSです。
ぜひ記事を参考にしてインスタグラムを活用してくださいね。